苦手な同僚が同担だった件について。


 戸川さんのことはかわいらしい女性だとは思うし、好意を寄せられて有難い気持ちはあるけど――その気持ちには応えられない。


「そうですか……じゃあ、次の機会は来てください!」
「申し訳ないけど、そういう飲み会は行けないかな」
「え?」
「俺好きな人がいるので」


 そうニッコリと微笑み、踵を返す。
 戸川さんはかわいらしい顔を歪めていた。申し訳なかったけど、期待を持たせるようなことはむしろ失礼だと思った。

 オフィス内ではかけるが既にPCに向き合っていた。
 キーボードを叩くスピードがいつもの如く尋常ではない。
 キリリとした眼差しで淡々とこなすかけるは、やっぱりカッコいいなと思う。


「……俺も頑張らないとな」


 今はまだただの同期、桂馬を推す同担仲間。
 きっとかけるは俺にそれ以上の感情はないと思うけど、少しずつでいいから距離を縮めたい。

 俺の気持ちを知ったら困らせることになるかもしれないけど、気づいてしまった気持ちはもう止められない。
 あの時は彼氏のフリだったけど、フリじゃなくて堂々と彼氏としてかけるの隣にいたいんだ。

 今まで他人の顔色を窺って正解を求めてばかりいたけど、かけるの前ではありのままの自分でいたい。
 アイドル好きな俺を受け入れてくれたかけるだからこそ、素顔の自分で勝負したいと思った。

 胸に灯った闘志を密かに燃やし、今日も仕事に励む。
 これまで以上にやる気が漲っていた。


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