苦手な同僚が同担だった件について。
溢れ出た好き
「俺好きな人いるから」
その言葉を聞いた時、目眩がするかと思った。
偶然通りかかった時に聞いてしまった。
戸川さんが諦めずに竜矢くんにアプローチをかけていた。
二人きりの食事を断られたから、複数人の食事会に切り替えたということだろうか。
戸川さんも諦めないなぁと半ば呆れていた。
その時に不意に飛び出た、好きな人がいるという発言。
竜矢くん、好きな人いたの……?
自分でも驚くほど動揺してしまった。
恋人はいないとは言っていたけど、好きな人がいないとは言っていない。
そうだ、そうだった。それはごく自然なことだった。
なのにそんな当たり前のことに、今の今まで気づかなかった自分にショックを受けた。
いや、それ以上に彼に想う人がいるということに大きなショックを受けていた。
「……っ」
私はその次の言葉を聞かずに、足速にその場を立ち去った。
立ち聞きをしてしまったという罪悪感もあった。
どちらかに恋人ができたらこの関係は終了する。
急にその約束がすぐ側まで迫っているかもしれない現実に直面してしまった。
そして、その瞬間にずっと見ないフリをしていた自分の気持ちに気づいてしまう。
私は、彼のことが好きだということに。