苦手な同僚が同担だった件について。
スッと立ち上がって手を挙げたのは、竜矢くんだった。
いつの間に帰社していたのだろう、全然気づかなかった。
「B社の担当者とは懇意にさせてもらってるので自分も一緒に行きますよ」
「でも、飛鳥さんは関係ないのに……」
「俺が行けば俺の顔に免じて~って言ってもらえるかもしれないじゃないですか」
竜矢くんは少しおどけたように笑う。
「大丈夫、一緒に行きましょう」
「あり、がとうございます……」
情けないけれど、お願いすることにした。
私はまずB社の担当者に電話で謝罪し、直接謝罪させてほしいというアポイントを取った。
幸い電話口ではそんなに怒ってはいないように感じたが、努めて穏やかに対応してくれただけかもしれない。
私は大急ぎでメイクを直し、マスクを外した。
「お待たせしました」
「行きましょうか」
「よろしくお願いします」
電車に揺られている時間、ずっと生きた心地がしなかった。
新人の頃でもなかなかやらないようなミスを、今になってしてしまうなんて。
余計なことを考えたくなくて無理にたくさん業務を請け負ったことが仇になってしまった。
心の底から反省した。
「角田さん、大丈夫ですよ」
俯いている私に向かって竜矢くんは優しく微笑む。
「あの担当者の方、すごく良い方だし優秀だし。多分何とかなると思います」
「何とか、って……そんな」
「大丈夫! とにかく前向いて!」