苦手な同僚が同担だった件について。
彼の案件は前にも担当したことがあるが、その際もかなり丁寧な指示内容に思わず目を見張った。
チャラチャラしているように見えるけど、仕事ぶりはとても真面目だ。
大手商社から小さな広告代理店であるチェスターに転職してきたのは、社長直々にスカウトされたかららしい。
うちの社長は何と私の一つ上でまだ二十代。だが業績が低迷していたチェスターを右肩上がりに伸ばしているという手腕を持つ。
ちなみに社長は天王寺さんの旦那さんでもある。
この会社は平均年齢が若い。
だから他の会社ならできないような大きな仕事を若いうちから任せてもらえる。
それがやり甲斐がある、と飛鳥竜矢が話していたのを聞いたような気がする。
みんなすごいな、と思う。
私はそこまでの上昇志向はない。与えられた仕事をきっちりこなして、定時に帰って家ではゆっくりしたい。
休みの日は全力で楽しんで――プライベートが充実させられたらそれ以上に望むことはない。
「えっ、鈴木さんご結婚されるんですか!?」
「おめでとうございます!」
社内でも誰かが結婚するようだ。
二十代〜三十代の社員が多いから、まあそんな時期なのだろう。
自分には一生縁のない話だと思いながら、PCに向かい合う。
さあ今日も仕事をしよう――。
私の生き甲斐である桂馬のために。