苦手な同僚が同担だった件について。


 *


「本当に今日はありがとうございました」


 B社を出てから竜矢くんに深々と頭を下げた。


「飛鳥さんがいてくださったから穏便に済ませていただけました」
「そんなことないですって。角田さんの対応に誠意を感じてもらえたからですよ」
「いえ、飛鳥さんのおかげです。このお礼は必ずさせてください」
「そんな、いいのにー。あっ、でも今度奢ってもらっちゃおうかな」


 そう言って微笑む。
 私に気を遣わせないようにしてくれる心遣いをひしひしと感じる。


「任せてください」
「ふふっ、楽しみにしてる。じゃあ戻りましょうか」
「はい」


 やっぱり私は、この人のことが好きだなぁと横顔を見ながら思った。
 もう後戻りはできないことを改めて実感した。

 でも、彼には好きな人がいる。

 この気持ちは絶対に悟られてはいけないし、胸の奥に押し留めなければならない。
 大丈夫、私はロボットなんて言われているくらいだもの。
 気づかれずに隠し通すことができるはず。

 私が彼のためにできることは、せめて良き仕事の同僚であることだけだ。
 この先彼が好きな人と結ばれて、ゆくゆくは結婚することになったとしても祝福できる人間でいたい。

 そんなことは綺麗事だとしても。


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