『可愛い君へ』

焼き鳥が美味しい居酒屋で、4人はテーブルを囲んでいた。

花苗の左隣に響子。

響子の目の前に吉川。

そして花苗の目の前に朝霞。

それぞれにビールが配られ、乾杯をする。

花苗と吉川は緊張で身体が固まっていた。

響子と朝霞が目配せをする。

すわ、結婚報告か?!

・・・と身を縮めていると、響子が吉川ににっこりと笑って問いかけた。

「吉川君。サッカーやってたんだって?どのポジションだったの?」

「あ・・・フォワードです。」

「へえ。フォワード!私は浦和レッズの大ファンでね・・・」

「あ、俺もっす。」

響子と吉川はサッカーの話で盛り上がり始めた。

花苗はその会話をあっけにとられて眺めた。

何?この状況・・・・・・

そして目の前の朝霞はというと、花苗をじっと見つめていた。

いつもの睨み付けるような目ではなく、柔らかいまなざしだ。
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