『可愛い君へ』
19時になり、花苗は社の屋上へ向かった。
屋上に着くと、もう朝霞は手すりにもたれて花苗を待っていた。
「朝霞部長・・・」
花苗は朝霞の元へ駆け寄った。
「谷口・・・突然呼び出してすまない。」
「いえ・・・」
朝霞はひとつ咳払いをし、花苗をまっずぐにみつめた。
「君は俺のことが嫌いか?」
花苗は大きく首を振った。
「嫌いじゃないです。」
「じゃあなんで目を合わせない?」
「それは・・・」
貴方が響子先輩と付き合っているから・・・
「俺は・・・」
「・・・・・・。」
「俺は、君が好きだ。」
「・・・え?」
「だから君が嫌じゃなければ俺にチャンスをくれないか?君が俺を好きになるように頑張るから・・・」
花苗は朝霞の目を見つめて告げた。
「頑張る必要ないです。」
「それはどういう意味だ?俺にはもうチャンスもくれないのか?」
「逆です。だって私は部長をもうとっくに好きだから・・・」
「谷口・・・」
花苗は朝霞に抱きついた。
「花苗・・・って呼んでください。」