かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません
「つぐみ、俺はお前を愛している」

つぐみは光高の言葉に驚きを隠せずにいた。

「俺は五年前からお前を愛している、お前が柿崎と付き合っていることは知っていた、
だから、俺の秘書として側に置くことで、自分の気持ち満足するように努めて来た、でも、あの日、お前が柿崎に振られたと言った時、もう、自分の気持ちを抑えることが出来なかった、だが、いきなりプロポーズでは変に思われると思って、婚約者の振りを申し出たんだ」

思っても見ない事実に、つぐみは頭が働かない。

「柿崎がつぐみとやり直したいと言って来た時は、正直言って焦ったよ、つぐみは柿崎を選ぶんだろうって思ったからな」

つぐみは黙って光高の話を聞いていた。

「つぐみがメモを残して俺の元から出て行った時はもう終わりにしなければと思ったよ」

「その間、会社の近くで、二人が抱き合っている姿を目撃して、俺は離婚届けにサインしようとした」

「えっ」

「でも出来なかった、つぐみ、お前のお腹の子供の父親にしてくれないか」

衝撃の告白だった。

(正臣は堕ろと言った、でも光高さんは正臣の子供と思っていても、父親になりたいと言ってくれた)

つぐみの頬を涙が伝わった。

「つぐみ、ごめん、お前は柿崎を愛しているんだから、俺と離婚したいんだよな、すまん、俺はどうしても離婚届けにサインは出来ない」
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