エイプリルフールの嘘

 私は必死で博君を追いかける。
 勿論もう博君はかなりの距離を走ってしまっているだろう。

 「ああ、もう」

 だが、幸いにも私は彼の家を知っている。
 取り逃がすことはないだろう。

 「え? いない?」
 「あの子はまだ帰ってきてないのよ」

 博君の家に行くと、お母さんから衝撃的なことを告げられた。
 家にいるのかと思ったのに。
 しかも、連絡すらよこされてないみたい。
 心配だ。

 私の嘘のせいで、大事になったら困る。

 私は走って公園まで駆け抜けた。

 何で公園か、その根拠はない。
 ただ、公園というのは、傷心の心を癒すための最適な場所だ。
 お金もかからず、静かな空間を享受できる可能性が高い。
 あくまでも、恋愛小説での知識なんだけどね。
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