エイプリルフールの嘘

 「俺は……俺は……」


 言葉に詰まってるみたいだ。
 きっと博君は勘違いしてるんだ。
 まさかここまで落ち込むなんて。

 「博君ごめん」
 「俺は綾のことが……って、ごめん?」

 博君がこちらを見る。
 俺は綾のことがって、それ聞くの二回目だ。

 「これ、完全に嘘なの。エイプリルフールの」
 「どういう事?」

 目を丸くしている。

 「私と春斗君は本当に何でもないの。ただの友達」
 「……そっか、今日は四月一日か」
 「うん」
 「何だそういう事かあ」
 「え?」
 「焦った。俺の元からいなくなるかと」

 心配性だなあ。
< 7 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop