隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
雄
「里香ってさ、好きな人いないの?」
大きめの制服がまだ馴染まない中学1年の春。私、斉木里香は地元の公立中学校に進学し、特に小学生の頃と変わらない様子で過ごしていた。当時の私といえば、髪を短くし、制服以外でスカートを穿くことはなく、一年中日焼けしているほど常に外を走り回っていた。端的に言えば、男の子っぽい女の子。
「え!?好きな人!?いないいないいない!」
だからこういう話が持ち上がる度に、こんな話はもっと大人になってからする話じゃないのかと困惑するのだった。小学生の頃だってそういう話はちょこちょこ耳にしてきた。だが、中学生になるとその頻度は格段に増え、というか何組の誰がかっこいいだの、何年の先輩が素敵だのとそんな話でいつも溢れかえっていた。
きっと自分の中で”大人になること”への恐怖とか抵抗とかがあったのだろう。恋だのなんだのは今の私には縁遠いもので、今は自分の好きなことや頑張らなきゃいけないことだけに向き合おうと、あえて距離を置いているところもあったように思う。
「そうなんだ〜。でもさ、里香って男子とめっちゃ仲良いよね」
その言葉に一瞬、顔が強張る。
いつからだろう、その言葉を真っ直ぐに受け止められなくなったのは。
「そうかな?ほらまあ、私はさ、男子から同じ男だと思われてるんだよ」
あはは、と瞬時に笑顔を作り直しそう言うと、友達も「なにそれー」と言って笑う。