隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
それから数日が過ぎ、男性の名刺はずっと机の引き出しにしまったままだった。でも、毎日その名刺を眺めては連絡するかどうかを悩んで。
「城戸涼太さん……かあ」
名刺を手に持ったままベッドに寝転ぶ。
悩むくらいだったらきっと連絡した方がいいのだろう。自分の中ではちゃんとお礼をしたいという気持ちが捨てきれずにいるのだから。
でも、男の人と会うということがどうしても難しくて踏ん切りがつかない。
中学のあの一件以来、男の人と関わることが難しくなってしまった。それでも高校生の頃には同じ予備校に通う男の子に告白されて「苦手を克服しなきゃ!」と自分に言い聞かせ、その場の勢いでOKして付き合ったこともある。でも結局長くは続かなくて。そもそも好きだったかどうかも疑わしい。
「あ〜〜〜〜もうっ」
堂々巡りの自分の脳内にもそろそろ嫌気が差してくる。
「別に会わなくてもいいよね。きっととってもお仕事忙しい人だろうし、わざわざ直接会ってお礼なんて逆に迷惑かもしれない。きちんとお礼できないのが嫌だから連絡だけ!連絡だけする!」
ベッドに置いてある大きなクッションを抱きしめ、一人で決意表明をする。
私は勢いよくスマホを手に取り、「先日はありがとうございました。お礼が遅くなってしまい大変申し訳ありません。………」と高速フリックをして即、送信ボタンをタップした。