隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
それ以来、涼太さんとは会ってもいないし連絡もとっていない。いつまでも連絡先を残していると私がずるずると引きずってしまうのがわかっていたから連絡先を即削除し、ずっと引き出しに取っておいた名刺も処分した。
ちょうど後期試験が終わって春休みに入るタイミングもあって、私は極力、人と関わることを避け、家の中に籠った。外に出るのは必要最低限で、サークルの活動日とバイトくらいのものだった。
それ以外は、ひたすら本の世界に逃避した。物語の世界に浸って現実から少しでも離れた場所にいたかった。もともと私が本に没頭するきっかけは、あの中学生時代の一件だった。外を駆け回ることができなくなった私は、図書室で本を読み始めた。そうやって自分の避難場所を見つけることができたのだ。
きっと涼太さんにとって「私」という存在は、私にとっての「本」と同じだったんだろう。都合よくいつでも飛び込める場所。居心地の良い虚空の場所。そう考えると、また私の胸の奥の方が鈍い痛みに襲われた。
でもきっとこの痛みは、時間が解決してくれる。だから今は、ただ時間が一刻も早く過ぎることを願うように本を読むしかなかった。
幸せも喜びもいっぱい与えてくれた人。
そして、それと同じくらいの痛みを与えた人。
間違いなく、涼太さんは私の初恋の人だったのだ。