隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。

 斉木さんからLINEが入ったのは、その日の夜11時過ぎだった。


"今日はありがとう。本屋さんとっても楽しかったです。最後、感じ悪くてごめんなさい。じゃあまた大学で"


 ベッドの上に寝転がり、何と返信すれば良いのか、どんな対応が正解なのかしばし考える。

 ───本当は気になる。二人の間に何があったのか。そして、何か自分にできることがあるなら何でもやってあげたいなんて烏滸がましくも思ってしまう。でも、他者の人間関係に、ましてや好きな人の元恋人との事情に首を突っ込むなんて、無粋なものだ。

 結局、俺は答えが分からないまま返信をするしかなかった。

"こちらこそありがとう"



-----



 それからまた幾日か過ぎた。斉木さんとは講義とプレゼミで顔を合わせるも、二人で出かけたことなんて嘘のようにお互い目も合わせなければ話しもしなかった。

 このままきっと時は過ぎて、二人の間には何も生まれないまま終わっていくのだろう。本来なら男である自分がリードして斉木さんの話を聞いてあげるなりした方が良いのかもしれない。

 でも、どうしても”涼太さん”の影がチラついて離れない。情けないことに、どうやったって勝ち目のない相手を目の前にして戦意喪失するのだった。今はもう付き合っていないとは言え、もし万が一俺が斉木さんと進展があったとしても、彼の存在を超えられるような気がしない。やっぱりハイスペな斉木さんの隣を歩くのはハイスペな男性がふさわしいのであって。

 斉木さんと話さない時間が増えるのに反比例して、自分の恋心は薄れていくような気がした。それでいいのではないかとさえ思った。
< 69 / 76 >

この作品をシェア

pagetop