隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
俺が言葉を選んで口をつぐんでいると、近くにいた友達が俺らの様子に気付き、声をあげる。
「あ、遠藤さんと大野、抜けるの?」
その声をきっかけにみんなの視線が集まる。亜衣はハッとして「ちがうちがう!」と自分から誘っておいたのにも関わらず否定し始めた。予想外の展開でよほど慌ててしまっているのがわかる。
「いいじゃんいいじゃん!行ってきなよ!」
久しぶりに再会したからなのか、やたらとテンションの高い友達らは俺ら二人の今後の展開を期待するかのように盛り上げる。
「俺らはカラオケ行くからさ、二人で場所変えてゆっくりしてきたら?」
きっと良かれと思って言っているのだろう。俺と亜衣の背中を同時に押し、2人をくっつけるようにして友達はそう言った。
その時だった。近くから聞き覚えのある柔らかく透き通った声が聞こえてきた。
「……大野くん……?」
声のする方に顔を向けると、そこには信じられないことに斉木さんの姿があったのだ。
「え…斉木さん……」
まさかのこんなタイミングでの鉢合わせに、目が泳ぎ言葉に詰まる。
「え!?大野の友達!?」
そう友達が大声を上げてハッと我に返った。
突然の美女の登場に、友達らはかなり動揺し、俺と斉木さんの顔を交替に見る。俺はようやく落ち着きを少し取り戻して、あくまでも冷静に言う。
「あーっと、うん、大学の」
斉木さんは黙って俺と亜衣を一緒に見据える。俺と亜衣の距離は、俺たちの意思とは関係なく友達に無理やりくっつけられそうになっていたので、とても近い。
「あっ、ちが…これは」
なぜか口をついて否定の言葉が出る。別に否定も肯定も斉木さんには関係のないことなのに。
そんな言葉をかき消すように周りの男たちは斉木さんの美しさにざわついている。
(……あ、まずい)