泡沫ユートピア
「蓮斗、俺が買っておいたノート何処置いた?」
「悠斗が洗濯物を中に取り込んでくれたら出すよ」
夏休み前の七月。窓の外では爽やかな風が吹いている。
最近は、リビングで二人が賑やかにしているのもよく見る光景。
(よし、、、こんな感じかな?)
キッチンで、私は用意したトレーに、たった今焼き上がったものを乗せる。
「未来、さっきから何作ってんだ?シュークリーム?」
「うわっ!悠くんか、、、」
すると今度はカウンター越しに、蓮くんがひょっこりと顔を覗かせた。
「甘くて美味しそうな匂いがしていたんだよね〜」
「美味そうな匂いだったな」
「あ、悠くんストップ!」
いつの間に背後にまわったのか、背後から伸びてきた悠くんの手を咄嗟に阻止。
危ない、危ない。本当に油断も隙もないんだから。
「とりあえずこれは、テーブルに持って行くからね」
私はリビングに移動して、出来上がったばかりのホットケーキを机の上に並べた。ホットケーキの上にはカスタードが乗せてある。
「お願い、覚えてくれてたんだ、、、!」
「カスタードはシュークリームの皮をを作ろうとして失敗したやつか」
「カスタードなら作れるんだけど、、、悠くんの好物は作れなかった」
いつか、シュークリームが作れるようになると良いな〜。
二人が集まってくる。ホットケーキでの誘導作戦は成功だ。
「実は、ホットケーキを食べる前に二人に見てほしいものがあって、、、」
そして、ポケットからあるものを取り出し、二人の前に差し出した。
「「悠くん蓮くんプラス未来の同居ルール。改正版?」」
二人の声がピッタリ重なる。
私は、そこに書いてある項目を読み上げた。
★その一、洗濯物は各自で畳んでタンスに仕舞うこと。
★その二、自分の荷物は自分の部屋に仕舞うこと。
★その三、冷蔵庫に入れた自分の物には名前を書いておくこと。
★その四、一緒に暮らしていることは学校では絶対に秘密!
そして最後は―――
「★その五、三人で協力して生活すること!」
全てを言い終えた私は、改めて二人の顔を見た。
初めは不安しかなかった同居生活。
でも今は、三人でいる時間が楽しい。
沢山悩んで、沢山迷って、、、。
もうダメかもって何度も思ったけど。
今はそうやって悩んで迷った時間も、大切に思えてくる。
「このルール、どうかな?」
尋ねながら、二人をチラッと見る。
すると二人は満面な笑みを浮かべた。
「うん、良いと思うよ」
「だな」
「これからも、よろくね!」
悠くんが入れてくれた、砂糖たっぷりのミルクティーを持って乾杯!!
目を合わせて笑いあったら、これからも沢山の”幸せ”に出会える予感がした。
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