Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜
気が付くと雨音がひき、周りの空気が明るく輝きだし、雨上がり独特の湿った若葉の香りがあたり一杯に広がりはじめている。
「ノースウッド伯爵……」
オリヴィアが下を向いたまま呟くと、エドモンドは彼女の唇にそっと人差し指を当てた。
何も言うな、という意味なのだろう。
「帰ろう。今のことは……忘れなさい」
エドモンドの口調はいつもの厳しさを取り戻していた。
それからバレット家の屋敷に戻るまで、二人はお互いに一言も言葉を交わさなかった。しかしオリヴィアの心の中は、沢山の疑問と、抱えきれないほどの渇望と、大きな不安で渦巻いていた……。
それでも、言葉には出さずとも、オリヴィアは感じていた。
──二人の間には愛がある。
たとえそれが、芽吹いたばかりの花の種のように繊細で、頼りないものであっても。
目をそらしてはいけない……。逃げることなんてできない……。
「ノースウッド伯爵……」
オリヴィアが下を向いたまま呟くと、エドモンドは彼女の唇にそっと人差し指を当てた。
何も言うな、という意味なのだろう。
「帰ろう。今のことは……忘れなさい」
エドモンドの口調はいつもの厳しさを取り戻していた。
それからバレット家の屋敷に戻るまで、二人はお互いに一言も言葉を交わさなかった。しかしオリヴィアの心の中は、沢山の疑問と、抱えきれないほどの渇望と、大きな不安で渦巻いていた……。
それでも、言葉には出さずとも、オリヴィアは感じていた。
──二人の間には愛がある。
たとえそれが、芽吹いたばかりの花の種のように繊細で、頼りないものであっても。
目をそらしてはいけない……。逃げることなんてできない……。