Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜
Meanwhile .. 幕間
春の盛りを迎えたノースウッドは見渡すかぎりが若草色に輝いていて、自然も人々も、束の間の瑞々しい季節を堪能しているようだった。
ノースウッド領が抱えるもっとも大きい街、ウッドヴィルは、街というより少し大きな集落という程度であったが、それでもこの季節だけは商人や旅人が集まってそれなりに繁盛する。
冬場は閉めている宿屋がその軒を開け、普段は奥ゆかしい街娘たちが色めき立って、胸元がのぞく初夏の衣装を着始める光景は、なかなか目に嬉しい。
馬に乗ったローナンがウッドヴィルに入ると、さっそく周囲から好奇の視線が集まった。
「伯爵だ! 領主さまがいらした!」
道端で遊んでいた小さな少年が、ローナンを見て高い声を上げた。
時々、彼らの勘違いを楽しんでそのままエドモンドのふりをすることもあるローナンだが、今日はそういう気分ではない。
「僕はローナンだよ。領主の弟だ」
乗馬したままのローナンがそう言うと、少年は目をまん丸にして驚いていた。
ローナンとエドモンドはそのくらいよく似ている。
──おかしなものだ。
二人の性格は、氷と炎ほどにも違うのに。
ノースウッド領が抱えるもっとも大きい街、ウッドヴィルは、街というより少し大きな集落という程度であったが、それでもこの季節だけは商人や旅人が集まってそれなりに繁盛する。
冬場は閉めている宿屋がその軒を開け、普段は奥ゆかしい街娘たちが色めき立って、胸元がのぞく初夏の衣装を着始める光景は、なかなか目に嬉しい。
馬に乗ったローナンがウッドヴィルに入ると、さっそく周囲から好奇の視線が集まった。
「伯爵だ! 領主さまがいらした!」
道端で遊んでいた小さな少年が、ローナンを見て高い声を上げた。
時々、彼らの勘違いを楽しんでそのままエドモンドのふりをすることもあるローナンだが、今日はそういう気分ではない。
「僕はローナンだよ。領主の弟だ」
乗馬したままのローナンがそう言うと、少年は目をまん丸にして驚いていた。
ローナンとエドモンドはそのくらいよく似ている。
──おかしなものだ。
二人の性格は、氷と炎ほどにも違うのに。