Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜
「身体は痛くありませんか? いくつか打ち身と痣ができてしまったので、お医者さまが軟膏をくださったのですけれど」
「今は必要ない」
「では、水をつぎますね」
オリヴィアはピッチャーからゴブレットに水を注いで、エドモンドの前に差し出した。エドモンドはゆっくりと上半身だけを起こし、普段の彼からすると少し放漫な動きで、それを受け取って飲みはじめる。
それに従ってエドモンドの喉仏が起伏するのを、オリヴィアは一種羨望の眼差しで見つめていた。
彼は逞しくて──魅惑的だった。
たとえ病床の上でも。
「ノースウッド伯爵、私はあなたのことがとても好きです」
オリヴィアの口調はまるで、『これは紅茶と砂糖菓子です』と告げるだけのような事実然とした響きで――エドモンドは飲んでいた水をゴブレットの中に吹き返した。
「マダム、何を……」
「だ、大丈夫ですか? まさか、頭を打ってしまったせいで上手く水が飲めないのでは……」
「違う! あなたのその……言葉が」
エドモンドは軽く咳き込みながら抗議した。
「言葉?」
「温室で育ったわけではないだろう。あなたは男女の間のルールを知らないのか? 私はあなたに何も与えていない。何も、だ! 私があなたを突き放そうとしているのは分かっているはずだ。だったらあなたは、私に対してそんな甘い言葉を吐くべきではない。あなた自身を守るために!」
エドモンドの怒声に、オリヴィアは大きく瞳を開いた。
まず、オリヴィアは温室で育ったも同然だったけれど、論点はそこではない気がした。
「今は必要ない」
「では、水をつぎますね」
オリヴィアはピッチャーからゴブレットに水を注いで、エドモンドの前に差し出した。エドモンドはゆっくりと上半身だけを起こし、普段の彼からすると少し放漫な動きで、それを受け取って飲みはじめる。
それに従ってエドモンドの喉仏が起伏するのを、オリヴィアは一種羨望の眼差しで見つめていた。
彼は逞しくて──魅惑的だった。
たとえ病床の上でも。
「ノースウッド伯爵、私はあなたのことがとても好きです」
オリヴィアの口調はまるで、『これは紅茶と砂糖菓子です』と告げるだけのような事実然とした響きで――エドモンドは飲んでいた水をゴブレットの中に吹き返した。
「マダム、何を……」
「だ、大丈夫ですか? まさか、頭を打ってしまったせいで上手く水が飲めないのでは……」
「違う! あなたのその……言葉が」
エドモンドは軽く咳き込みながら抗議した。
「言葉?」
「温室で育ったわけではないだろう。あなたは男女の間のルールを知らないのか? 私はあなたに何も与えていない。何も、だ! 私があなたを突き放そうとしているのは分かっているはずだ。だったらあなたは、私に対してそんな甘い言葉を吐くべきではない。あなた自身を守るために!」
エドモンドの怒声に、オリヴィアは大きく瞳を開いた。
まず、オリヴィアは温室で育ったも同然だったけれど、論点はそこではない気がした。