Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜
Deep in A Room ある部屋の奥で
エドモンドは、忍耐の最後のひとかけらを決して手放すまいと努力しながら、肩に置かれたヒューバートの腕を片手でがっしりと掴んだ。
軽薄なうぬぼれ屋であるヒューバートは、こと肉体的な争いになるとエドモンドに勝てないのがよく分かっているから、わずかに顔をしかめつつもすぐに手を下ろした。
エドモンドもすぐにヒューバートを離した。
「そ、そんなに怖い顔をすることはないだろう」
そう言って、ヒューバートは腕をさすりながら一歩下がった。
エドモンドはなにも答えずに、熱くたぎった緑の瞳で相手を見下ろしている。ヒューバートは彼から目を逸らさないようにかなりの強がりを強いられた。エドモンド・バレットの鋭い視線は、それが向けられた相手を凍りつかせるだけの迫力がある──。
通じないのはオリヴィアくらいだ。
「まったく、隣人を舞踏会に招待しただけじゃないか。礼を言われてしかるべきだと思うね」
「招待には心から感謝しよう」
棒読みで礼らしきものを言ったエドモンドは、そのまま横に並んでいるオリヴィアの腰周りに手を伸ばして、夫としての所有権を主張しながら続けた。
「もしそれ以上に重要な用事ができなければ、喜んで参加させていただこう。妻と共に」
パン、パン!
緊迫していた空気は、マーガレットが数度手を叩いたことで破られた。
「素晴らしいことですわ! きっと興味深い集まりになるに違いありませんわね。ね、オリヴィア? 舞踏会には私のドレスを着てくださるのかしら?」
「え、ええ、もちろんそうしたいですわ。それまでに仕上がるのなら……」
「来週といえば急がなくてはならないわね。一刻の猶予もないわ。さぁ、さっそく採寸にまいりましょう」
採寸と聞いて、男たちの視線は再びオリヴィアの肢体に集中した。