重いけどいいの?お嬢サマ

答えれば、慧は『なるほど……』と呟く。


「わたしも考えないといけないってことか、ただ嫌だと駄々っ子のように貫くのは無理があるもんな」
「ええ」


どうも私たちは縁談に前向きな要素を見出だせない。ことごとく嫌い、避けようとしている。


「あ!!」

「……なに、急に」


ひっそりと話していたのに、テラスに響く声を出されては注目されてしまうだろうに。

だから私は口元に人差し指を添えて、静かにと慧に伝えれば、慧は苦笑い。


「縁談話で忘れていたんだが、アレが来るぞ」

「……アレ?」

「二年生から始まる"秋の交流会"だ。美青が知らないはずないだろ?」


秋の交流会──


それは、他校のお坊ちゃん方との交流会。

と言う名の未来の嫁、婿を探す会のこと。
そこで、自分の家柄に見合う人に目星をつけ、あわよくば付き合うところまでこぎつけ、未来の安泰をはかる。

……この学園一、私の嫌いな行事やもしれない。


「……あった。自分の縁談話ですっかり忘れていたけど。しかもそれ、強制参加なのよね。過去の資料でちらっと見たことがあるもの」

「らしいな。美味いものが沢山ある中でもったいないよなぁ。でも大丈夫!わたしがそばにいて美青に寄るやつは片っ端から……秋葉、春夏冬!」

「え?」
< 143 / 233 >

この作品をシェア

pagetop