重いけどいいの?お嬢サマ
答えれば、慧は『なるほど……』と呟く。
「わたしも考えないといけないってことか、ただ嫌だと駄々っ子のように貫くのは無理があるもんな」
「ええ」
どうも私たちは縁談に前向きな要素を見出だせない。ことごとく嫌い、避けようとしている。
「あ!!」
「……なに、急に」
ひっそりと話していたのに、テラスに響く声を出されては注目されてしまうだろうに。
だから私は口元に人差し指を添えて、静かにと慧に伝えれば、慧は苦笑い。
「縁談話で忘れていたんだが、アレが来るぞ」
「……アレ?」
「二年生から始まる"秋の交流会"だ。美青が知らないはずないだろ?」
秋の交流会──
それは、他校のお坊ちゃん方との交流会。
と言う名の未来の嫁、婿を探す会のこと。
そこで、自分の家柄に見合う人に目星をつけ、あわよくば付き合うところまでこぎつけ、未来の安泰をはかる。
……この学園一、私の嫌いな行事やもしれない。
「……あった。自分の縁談話ですっかり忘れていたけど。しかもそれ、強制参加なのよね。過去の資料でちらっと見たことがあるもの」
「らしいな。美味いものが沢山ある中でもったいないよなぁ。でも大丈夫!わたしがそばにいて美青に寄るやつは片っ端から……秋葉、春夏冬!」
「え?」