重いけどいいの?お嬢サマ


**


「嫌」


フンッと顔をそらし、私は佐藤に見せられたものから目を背けた。


「……お嬢様」


迫る交流会のためのドレス選びで家へと戻り、何着か新調したと言われたドレスを自室で見せられたのだけど……私はどれも良しとしなかった。


これで三着目。

ドレスを広げる役割の奏矢と矢絃は、私が嫌と言う度に佐藤と真逆のリアクションを見せる。


「あと二着ですよ、お嬢様」


佐藤は困ったように私を見つめ、次を広げるようかなやいへ声をかけるも、私はストップをかけた。


「待って。どれもこれも誰が選んだの。赤やピンクにオレンジ……どれも派手で目立つ装飾ばで、私が好まないものばかりじゃない」


私の好みを知る佐藤が用意したりしてくれるのは、いつも控えめな色のものなのに。……おかしい。


──なるほど。


佐藤の顔色を見るに、合点がいくことがあった。


「じーちゃんね」

「……はい」


いつもなら"お祖父様"と指摘するのに、佐藤はただ頷くだけ。
……にしても、ドレスまで手回し?目立って来いと?

あり得ない。


「そんな計画が見え透いたドレス、着るわけないでしょ?それに、以前奏矢と矢絃が選んだ未着用のドレスがあるはずよ。私はそれにする。小物は二人に合わせてもらうから」

「ですが……」
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