重いけどいいの?お嬢サマ
……なんてね。
"胸を張りなさい"、"誇りに思いますよ"
"そばにいれることが幸せなんだって"、"生きてて良かったって思ったよ"
"オレのオジョー最高最強じゃんって思ったし"
佐藤も、奏矢も矢絃も、私に向けてくれた言葉。
私は──その言葉だけで強くなれる。
「この世に貴方ひとりしかいないとしても、結婚なんてお断り」
「またイヤイヤ期かい?今僕を逃せば君はいい男を捕まえられな──」
「黙れ」
「なっ……」
お坊ちゃんの胸ぐらを掴み、グッと引き寄せてやれば、ひどく引きつった顔が私を見据える。
もう、いい。
周りの目があろうとなかろうと、私は私のしたいようにする。
それを奏矢と矢絃は引き止めないし、佐藤だってそれで大丈夫だと言ってくれる。
「私の執事を侮辱したあんたを私は絶対に許さないからな。一条家を敵にまわしたくないなら金輪際、私と九重奏矢、九重矢絃……ひいては一条家に関わることも許さない。……矢絃、スマホを」
「はい」
怯えだすお坊ちゃんの胸ぐらを押しながら離し、お坊ちゃんはその場に尻もちをつく。