重いけどいいの?お嬢サマ
「っなんでいるの」
さっき胸ぐらを掴んでやったお坊ちゃんが。
……なるほど。
私の行き先がわかり先回りされていたってこと。部屋のドアを開けられてはいないから、ずっと書斎に隠れていただけ、か。
いつの間に座っていたんだか。それにお付きの男の人も増えている。懲りない人だ。
「そうですねぇ……僕は──」
考える素振りを見せるお坊ちゃん。何かを言おうとした矢先、ドアが開いた。
「では、チェスで勝負はいかがでしょう」
奏矢と矢絃が入ってきたのだ。
二人とも扉に澄ませていたのか、よくこの状況で入ってきたな……。ノックもなしに。
それに、今のは奏矢の思いつきで言ったのが分かる。
「また野良猫くんたちか……」
「貴方が勝てば、お嬢様との縁談を進める」
「負けたら、オジョーの言う通り金輪際関わらないってルールで」
「ふえん……なるほど?僕は構わないよ。たかがチェスの勝負で、彼女との将来を約束出来るのなら、この上なくEASYだ」
「君がよいなら口出しはせんが」
じーちゃんはことごとくそちらの味方ってわけ。孫娘ではなく。別に構わないけど。
「ああ、でも執事くんは二人だから──二対二……四人でやろうか」
『四人?』
奏矢と矢絃の声が重なれば、お坊ちゃんはお付きを指した。
「僕の側近も交えてやろう。それでいかがかな?……九重兄弟くん」
「構いませんよ」
「オレも」
話が勝手に進んでいったけれど、私もそれでいいと思い、お坊ちゃんより先に部屋を出た。