重いけどいいの?お嬢サマ


は……え?い、今のなに!?


ドアが閉まった後、即座に床に座り込み、胸を押さえた。


「……は、はやっ」


心臓にあるなにかしらのボタンを連打されてるかのように、あまりにも速い鼓動。

そこまで呼吸は乱れてないのに。





"大事な女、取られてたまっかよ──"





「うわぁ……!!なによ!何で浮かぶのよ!!」



ひとり騒いで、奏矢の顔と言葉が浮かぶ頭を振る。


……このまま騒いでたら慧を起こしかねない。


寝ろ、私──!




**




「……どうした美青、目のくますごいな」


「い、いいの気にしないで」


寝ろ、なんてひどく簡単な暗示が効くわけもなく、一晩ほとんど眠れず。
会った瞬間、慧に心配された。

勝負当日だというのに我ながらひどい顔だから。


『オジョーどったの。おもろ』


ぐっすり快眠の矢絃には、今朝面白がられ写真を撮られる始末。

奏矢は奏矢ですでに戦闘モードに入っていて声をかけられるレベルじゃなかった。……別にいいのだけども。


……今は目のクマのことよりも、お坊ちゃんとの勝負。

切り替えて行かないと。
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