重いけどいいの?お嬢サマ
は……え?い、今のなに!?
ドアが閉まった後、即座に床に座り込み、胸を押さえた。
「……は、はやっ」
心臓にあるなにかしらのボタンを連打されてるかのように、あまりにも速い鼓動。
そこまで呼吸は乱れてないのに。
"大事な女、取られてたまっかよ──"
「うわぁ……!!なによ!何で浮かぶのよ!!」
ひとり騒いで、奏矢の顔と言葉が浮かぶ頭を振る。
……このまま騒いでたら慧を起こしかねない。
寝ろ、私──!
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「……どうした美青、目のくますごいな」
「い、いいの気にしないで」
寝ろ、なんてひどく簡単な暗示が効くわけもなく、一晩ほとんど眠れず。
会った瞬間、慧に心配された。
勝負当日だというのに我ながらひどい顔だから。
『オジョーどったの。おもろ』
ぐっすり快眠の矢絃には、今朝面白がられ写真を撮られる始末。
奏矢は奏矢ですでに戦闘モードに入っていて声をかけられるレベルじゃなかった。……別にいいのだけども。
……今は目のクマのことよりも、お坊ちゃんとの勝負。
切り替えて行かないと。