重いけどいいの?お嬢サマ
矢絃も、ゲームにはひと一倍やる気を見せてくれる。


大丈夫──





**



徐々に盤面の駒が減り、何かしら大きく動く……そんな空気に、より一層緊張感が漂い始める。


矢絃の駒は側近の邪魔したり、奏矢の攻めに入らせないようにして、奏矢はひたすらお坊ちゃんの駒を見ている気がする。

先々を見越しながらやっているのか、かなやいはすらすらと駒を置いては相手の出方を待つことを繰り返すも、あちらは次第に鈍くなってきていた。


時間をかけて置いた駒を、二人の策にハマりのあっけなく取られれば、苦い顔をするお坊ちゃん。

そして矢絃、そして奏矢が置いた駒の配置によりお坊ちゃんと側近が同時に顔を完全に曇らせた。


「……なんだ、随分と険しい顔つきじゃねぇか。詰んだか、お坊ちゃん?」

「っ誰に口をきいているのかな」

「どうでもいいけど置けば?時間消費したいなら別だけどね」


挑発するような奏矢は、周りの目があると言うのに背もたれに体を預け、肘をついている。
矢絃も、自分の番だけ椅子から背を離してはまた脱力するように背中をつけていた。

それに、二人とももう執事としての口調が消え去っている。
チェスの勝敗の行方もそうだけど、そんなかなやいについてざわついているのが上からだと丸見えだ。
二人がそれで構わないのなら、私が口を出すことはない。
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