重いけどいいの?お嬢サマ



──私と慧は秋葉さんたちを連れ、二階へ。


皆中央のテーブルを囲う席にいるためか、こちらは人がいなく、静かに見ることが出来る。


見下ろせば、ちゃんと駒の動きも見えるから問題ない。




「……さて、楽しいチェスタイムと行こうか」


お坊ちゃんの一言で、拍手がわくも勝負はチェス。そう騒いでみるものではないため、ホールは徐々に静まっていった。


そこからは練習してきた通りの手順で進み、駒が動かされていくのを見守るだけ──



「なぁ美青、美形くんたち本当に大丈夫……だよな」


心配そうに私の袖を掴む慧。

私は何を答えるわけでもなく、ただ奏矢と矢絃を見つめていた。





──勝負開始から、駒の音だけがこの広いダンスホールに小さく響き続ける。


周りにいる私たちは息を呑むように駒の動きを見て、勝負の進行を見守るしかない。


「……まだ大きな動きはありませんね」

「でも、二人ともいい位置に置けてますよね」


何度もかなやいの練習に付き合ってくれた秋葉さんと春夏冬さんも一緒に行方を見守ってくれている。


『大丈夫ですよ!勝てます!』

『軽々しく言っていいのか春夏冬!』
『え、いいと思って……』


春夏冬さんは大丈夫!いけます!と奏矢たちに言ってくれた。


"相手がお坊ちゃんだろうが誰だろうが、負けたりしねぇ"


奏矢も……負けないって言ってくれた。
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