重いけどいいの?お嬢サマ
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その日の夜、佐藤に時間を作ってもらい、自室で今回の勝負を勝利で飾れた経緯を話していた。
ティーカップを手に、佐藤は時折相槌をうっては何故か私の頭を撫でることを繰り返す。
「……佐藤?どうして私を撫でるの?勝負に勝ったのは奏矢と矢絃なのよ?」
「確かに、勝負に勝ち破談という完結を手にしたのは二人です。ですが、交流会のやりとりもそうでしたが、引き続き校門前に現れた時の言葉……お祖父様への真っすぐな態度、お話を聞く限りお嬢様も頑張っていたのが伝わるからですよ」
「私は……ただ単に騒いでただけに過ぎないわ。お坊ちゃんやじーちゃんに荒れた態度をとって、執事二人に任せきりになってしまったもの」
頑張っていた、そう褒められるのは素直に嬉しくもあり、逆に褒めてもらえるようなことは私自身ではしてないとも思う。
「……でもきっと、私がチェスの勝負をしたら負けていたと思うから、結果よければ……よし、よね?」
「はい。佐藤はお嬢様が心の底から一緒にいたいと思う方が現れるまで、今のお嬢様を貫いていただきたいと思っていますよ」
「ええ……そう、するわ。なるべく。口調も荒れないように頑張る」
やっと年単位かけてお嬢様らしさが出てきたのに、ぶち壊すのは嫌だ。……学園ではもうバレてるようなものだけど。
でも、佐藤は『はい』と笑って頷いてくれたから、私も笑顔を返した。