重いけどいいの?お嬢サマ
「……オレ、立場が執事だからオジョーを好きになっちゃダメとか関係ないと思ってる。ていうか……こんだけ一緒に居たら、好きになんない方が無理ゲーだし」
絡ませられる指を見つめ、矢絃の言葉に耳を傾けるも、こういった状況を作り出した自分に、どうするのが正しいのか問いかける。
好き、付き合って──なんて
自分の執事から言われて。
お坊ちゃんみたいに、何も迷わず嫌、無理と跳ね返すのが主として一番いいのか。
適度な距離を保つために。
それがいいのだと頭では分かってる。
分かっていても、ここで突き放すようなことを言えば、適度な距離どころか今まで築いてきた関係さえも危うくなりそうで。
言葉を選ぼうにも、その言葉の選択肢が全く浮かばない。
何を言っても、良い方向には向かなそうで。
「オジョー」
「……っ」
ゆっくりと指が離れていき、矢絃は隣へと寝そべった。
「ごめんて、困らせてさ。……縁談だのお坊ちゃんのことだのあって、オジョーへの好きが膨らんで焦った。……とりあえず、寝よ」
ただ頷いて、なんとなく矢絃へ背を向ければ部屋の明かりが消された。
けど、すぐに後ろからぴたりと抱きつかれる。
これは許して。こうして寝たい。……そう囁かれ、いいとも悪いとも言わず……言えずに目を瞑った。