重いけどいいの?お嬢サマ
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慧との電話を終えて、私は送信ボタンを押した。
【矢絃だけで、部屋に来てほしいの】
返事をするために。
矢絃へのメッセージを送ったのだ。
だけど──自分から決心して連絡をしたのに、待っている間の時間というのはいたたまれなくて。
座ったり、ウロウロしたり、ドアに耳を澄ませたり。
まるで慧の慌てぶりが移ったみたいな感じ。
しっかり、しっかりしろ私。
ドアにへばりついたままでいれば、ノックなしに開けられ、後ろへ大きく後退る。
「……何してるの?」
入ってくるなり、矢絃は眉を寄せて私を見た。
「な、なんでもないわ、平気」
大丈夫?なんて聞かれてないのに変に強がってしまった。全然しっかり出来ていない。
「別にいいけど、どしたの」
ドアに寄りかかりながら俯きがちに聞いてくる矢絃に深呼吸して一歩近付くと、矢絃の目だけが私に向いた。
「……二、ヶ月以上何も言わないままでいたことに謝るわ。ごめんなさい。今呼んだのは、あの時の返事……がしたくて」
今度は私の視線が下を向く。両手が落ち着かなく握り合わせたりしながら、その返事を口にしようとしても中々、出せなくて。
言え、と胸を叩き口を開いた時、矢絃が一歩私に近付いた。
「……YESでもNOでも言っていいよ」
「矢絃……」