重いけどいいの?お嬢サマ
『さ、佐藤さんこれ、本当に……頂いていいんですか?』
矢絃は嬉しそうに両手で携帯を包み、奏矢は本当にいいのかと半信半疑で。
『ええ。でも、決して私利私欲のための遊び道具としては使わないこと。……たまの息抜きは許容範囲内ですが。あくまで我々やお嬢様との連絡手段であることを忘れないように』
『……っはい!』
たまの息抜きはいい、と軽くウィンクをした佐藤。なんとも茶目っ気のある執事だ。
そんな佐藤に大きく返事を返したかなやい。
その後──佐藤の部屋をあとにした私たち。
細かな設定はしてあったものの、はじめて手にした携帯にどぎまぎした様子で……
二人は慎重に携帯を持ちながら今度は私の部屋へ。
『こ、これ落としたらヤバイ、よな……?画面とか。よく他の奴らはポケットとかに平気で入れて歩けてるな……』
ぎこちない足取りでベッドの方へ向かう二人についていき、並ぶように私は端の方へ腰をおろす。
ただそれだけの流れで、中々の消耗ぶり。
ついた……と声をもらす奏矢。
『オジョーと連絡出来るって、離れてても出来るんだよね?』
『勿論』
『……じゃあ極端な話、北海道と沖縄に居ても?このビデオ通話ってやつしたら、顔見て話せるってこと?』
『はぁ?北海道と沖縄?さすがに遠すぎん──』
『出来るよ。全然出来る』
私の返答に──『信じらんない』。
と、奏矢と矢絃の顔にそうかいてある。
それはもう分かりやすいくらいに。
『……冗談だろ?』
『本当だって』