ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「ところで、お父さんは……?」

「ああ、主人は仕事で一緒に来れなかったんです。仕事柄、土日も関係ないので……」

 少し困ったように、お母さんは言った。

(そう言えば、葉月ちゃんのお父さんってたしか……)

「そうだったんですね。ちなみに、カフェスペースとかは行かれましたか?」

「いえ、行ってみたいとは思ったんですけど、やっぱり、二人連れて行くのは大変なので」

 たしかに、子ども二人を見ながらだとゆっくり休憩できないのは目に見えている。

(あっ、そうだ……!)

 そこでふと名案がひらめき、私は口を開いた。

「良かったら、私たちで葉月ちゃんたちを見させてもらえませんか?」

「え、いいんですか?」

 会場の見まわり業務は、迷子の対応以外は自由となっている。当然、子どもと遊ぶのもオーケーだ。

「私と彼のほうできちんと対応しますので、お母さんは少し、ゆっくりして来てください。葉月ちゃん、先生と久しぶりに遊びましょうか」

「遊ぶー!」

「えっと、じゃあ少しだけ……お願いできますか?」

 葉月ちゃんが元気よく頷いたことで、お母さんも背中を押されたようだ。

「ふふっ、もちろんです」

「ありがとうございます……!」

 お母さんは葉月ちゃんと陽菜ちゃんを私たちに預けて、カフェスペースへと歩いていった。

「その……橘さん、まさか……」

 困惑したように、黒崎さんは私の名前を呼んだ。そんな彼に、私は笑顔でこう言った。

「じゃあ、黒崎さん。今から‘‘四人で’’遊びましょうか」
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