ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「お疲れ様。今日は災難だったわね、優花ちゃん」

 仕事を終えてロッカールームに行くと、 ベテランパートの照井さんが声をかけてくれた。

「お疲れ様です、いえ……昼間の忙しい時間帯に、レジを止めてしまってすみませんでした」

 私が苦情を受けていたのは、ちょうど店内が混み合い始めたタイミングだった。他のレジのパートさんにも迷惑をかけてしまったので、私は平謝りした。

「いいのよ! それにあのお客さん、見た限りだと常連の方ではないから、もう来ないと思うわ。切り替えていきましょ」

 三角巾を外しながら、照井さんはあっけらかんと言ってのけた。十数年ここで働いていることもあり、照井さんは常連のお客様の顔をほぼ全員覚えているようだ。

 先程の苦情対応の時も、照井さんは昼休み中の社員さんを呼びに行ってくれていた。照井さんは色々な面で、頼れる人なのだ。

「そう言えば、交番のお巡りさんが助けてくれたんですって? 若い男の子だったって聞いたけど、新入りの子かしらね。今までお昼ご飯買いに来るお巡りさんは、おじさんばかりだったじゃない?」

「た、たしかに」

 照井さんが言うとおり、交番勤務の警察官の方がうちのスーパーに昼食を買いに来ることはよくあるものの、みな四十代ぐらいの方ばかりだった。黒崎さんは明らかに二十代だったので、この春に異動して来たのかもしれない。

「とりあえず、今から菓子折を持ってお礼に行こうかと思います」

「あら、きっと喜ばれるわよ」

「ありがとうございます、じゃあ、お先に失礼します」

 照井さんに挨拶してから、私はロッカールームを後にした。
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