ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「良いリハーサルになったみたいで、何よりです」

「しょくばけんがく? なあに、それ?」

「小学生のお兄さんやお姉さんが、大和くんの仕事を見に来るんだって」

「大和くんのお仕事ってなあに?」

「お巡りさんだよ。でも、みんなびっくりするから、お友達には内緒だよ」

 口元に指を一本立てて、黒崎さんは翔くんに言った。

「お約束してくれるかな?」

「うん!」

 二週間後、地元の小学生たちが授業の一環で警察署に見学に来るらしい。黒崎さんは交番勤務だけれども、その日は警察署で地域課の仕事について子供たちに説明することになったのだという。

 そのため、子どもとコミュニケーションをとる時のコツを教えてほしいと、昨日メッセージが来ていたのだ。

 今日はその練習がてら来てもらったのだが、翔くんとのやり取りを見る限り、小学生の子相手でも問題ないはずだ。

「ぼくも、大和くんのお仕事、見てみたーい」

「ふふっ、もう少し大きくなったらね」

「あ、優花ちゃん」

 何かに気づいたかのように、黒崎さんは私の名前を呼んだ。
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