ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女

「え？」

「口元、汚れてますよ」

　そう言って、黒崎さんはウエットティッシュで私の口元を拭った。

「はい、とれましたよ……って、すみません、また余計なお世話を」

「い、いえ。ありがとうございます」

　どうやら黒崎さんは、反射的に手が出てしまったようだ。悪気がないのは分かっているものの、黒崎さんに口元を触れられて、恥ずかしさのあまり頭に血が上っていく。

「優花ちゃんも大和くんも、お顔真っ赤だよ。どうしたの？」

「な、なんでもないよ！　ちょっと暑くなっちゃっただけだよ」

「そ、そうそう！　あ、翔くん。デザートのフルーツサンド食べる？」

　それ以降、身体の熱を冷ますかのように、私も黒崎さんも飲み物を飲むペースが早くなったのは言うまでもない。