ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
 翔くんをソファに寝かしてから、お姉ちゃんはタオルケットを小さな身体に掛けた。

 そして立ち上がるや否や、私に向き直ってとんでもないことを言ってきたのである。

「黒崎さん、とってもいい人じゃない。どこであんなイイ男引っ掛けてきたのよ」

「え?」

「優花も素敵な彼氏をゲットしたみたいで、お姉ちゃん安心したわ。このこのっ」

「なっ……!?」

 そう言ってニヤつきながら、お姉ちゃんな私を肘でつっついた。

 どうやら、私と黒崎さんが付き合っていると勘違いしているらしい。

「ち、違うよ……っ、黒崎さんは友達だってば!」

「そんな隠さなくていいって。お父さんとお母さんには黙ってるから。ね?」

「もう、お姉ちゃん……!」

 私が否定しても、お姉ちゃんは一層ニヤニヤするばかり。おそらく、どれだけ否定しても誤解は解けないに違いない。

「っ、もう……! とりあえず、シャワー浴びて来るからっ」

「はいはい、どうぞごゆっくり」

 口では否定しつつも、私の中で黒崎さんの存在が大きくなっていく。密かにそんなことを感じながら、私は風呂場に向かった。
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