ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
□
「お肉、焼いていきますね」
「じゃあ、俺は野菜を並べていきますよ」
「橘さん、飲み物どれが良いですか?」
「えっと、ウーロン茶で」
キャンプ場に着いた私たちは、バンガローのテラスでバーベキューを始めていた。
バンガローには鉄板や食器類、そしてバーベキューの食材までそろっている。「手ぶらで来れるキャンプ場」がコンセプトということもあり、室内の備品はとても充実していた。
席順は、男性陣三人と私たち三人がそれぞれ一列になるようになっていた。それぞれが、意中の彼と向かい合うようにしたのである。
そんな訳で、私は黒崎さんの向かいの席に座っているのだけれども……。
私は序盤から、黒崎さんに世話を焼かれっぱなしになっていた。
「ピーマンと玉ねぎはもう少し焼いた方が良さそうですけど、トウモロコシはそろそろ良さげですね。橘さん、食べますか?」
「え、あっ、はい。欲しいです」
「お皿もらいますね。タレはどれが良いですか? 普通のタレと塩と……あと、レモン汁もありますけど」
こんな感じで、私が動くより先に黒崎さんが動くので、私が付け入る隙がないのだ。
『黒崎さん、あんまり料理が得意ではなさそうじゃない? だったら率先してお肉を焼いたり飲み物を用意したりすると、アピールポイントになるんじゃない?』
実夏にそう言われたものの、今の状況はまったく想定外だった。
「お肉、焼いていきますね」
「じゃあ、俺は野菜を並べていきますよ」
「橘さん、飲み物どれが良いですか?」
「えっと、ウーロン茶で」
キャンプ場に着いた私たちは、バンガローのテラスでバーベキューを始めていた。
バンガローには鉄板や食器類、そしてバーベキューの食材までそろっている。「手ぶらで来れるキャンプ場」がコンセプトということもあり、室内の備品はとても充実していた。
席順は、男性陣三人と私たち三人がそれぞれ一列になるようになっていた。それぞれが、意中の彼と向かい合うようにしたのである。
そんな訳で、私は黒崎さんの向かいの席に座っているのだけれども……。
私は序盤から、黒崎さんに世話を焼かれっぱなしになっていた。
「ピーマンと玉ねぎはもう少し焼いた方が良さそうですけど、トウモロコシはそろそろ良さげですね。橘さん、食べますか?」
「え、あっ、はい。欲しいです」
「お皿もらいますね。タレはどれが良いですか? 普通のタレと塩と……あと、レモン汁もありますけど」
こんな感じで、私が動くより先に黒崎さんが動くので、私が付け入る隙がないのだ。
『黒崎さん、あんまり料理が得意ではなさそうじゃない? だったら率先してお肉を焼いたり飲み物を用意したりすると、アピールポイントになるんじゃない?』
実夏にそう言われたものの、今の状況はまったく想定外だった。