恐怖姉妹
教室が一気に騒がしくなり、拓真が駆け寄ってくる。
「嘘だろ、お前……」

まさか自分の体操着を切り刻んだ相手がクラスで一番おとなしい生徒だとは思っていなかったのだろう、拓真が唖然とした顔で固まってしまった。

「ち、違う! 僕はなにもしてない!」
慌てて首を左右にふって否定するけれど、みんなの視線は男子生徒へと集まっている。

「ひどい」
「最低」
女子たちからははやくもそんな声が聞こえてきていた。

「本当に、お前がやったのか?」
「違うよ! こんなカッター僕は使ったことない!」

必死に否定すればするほどの立場は悪くなっていく。
もともと大人しくてクラスに馴染めていなかったことも災いの元だった。

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