ホスト科のお世話係になりました
小さく呟いて頭を抱える。
あんな風に怒らせるつもりはなかった。

ただ、尋とふたりきりでいたあいつを見た瞬間に、言いようのない気持ちが湧き上がってきて、我慢ができなくなってしまった。

ホスト科は恋愛禁止。
だから尋や他の連中を好きになるな。
そう伝えたかっただけなのに。

クールだとか言われるけれど本当はただの口下手で、気持ちをうまく伝えることができなくて人間関係がこじれてしまったことも沢山ある。

恋愛だって、うまくいったためしがなくてホストとしての仮面をかぶることでようやく会話できる自分を演じているだけだった。

「大丈夫?」
その声に顔を上げるとそこには懐かしい顔があった。
「梨奈」
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