社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
「美春に聞いたのね」
「あぁ、やたら目立つ奴だったな。穂花の会社の社長なんだろ?」
「……だから何? 律季には、関係ないでしょ」
「関係なくは、ないだろう。穂花は鏡レンナの関係者だ。アイツ、鏡レンナのファンなんだろ? 穂花と鏡レンナが姉妹だって気づいたら、厄介な事になる」
鏡レンナ、レンナって何なのだ!!
自分が理不尽なやつ当たりをしているのも分かっている。律季は、鏡レンナのマネージャーなのだから、トラブルの芽を早めに摘みたいと考え、社長の危険性を私に言っているのも分かる。
ただ、我慢出来なかった。
「そんな事、律季に言われなくたって分かっているわよ!! 社長とは、関わらないから、もういいでしょ。ほっといてよ……」
「放っておける訳ないだろう!」
なによ! 律季まで私の行動を制限するって言うの。
『鏡レンナ』として妹が羽ばたけるように、私には犠牲になれと言う。
そんな人生、もう嫌だ。
前の自分なら我慢出来た。社長に出会う前の自分なら我慢出来た。
ただ、もう無理だった。
前を向き、一歩を踏み出す決意をした今の自分には、妹のために自分を犠牲にする事は、もう出来ない。
「律季に私の行動を制限する権利なんてない! 私が誰と交流しようと、誰と行動を共にしようと、誰と付き合おうと、貴方には関係ないでしょ!」
捨て台詞を残し、さっさと立ち去ろうと踏み出した足が止まる。律季に捕まれた腕がジンジンと痛む。
「離してよ!」
「離す訳ないだろ!! 今、何て言った? 俺には関係ない。穂花が誰と付き合おうが、関係ないって言ったよな? ふざけるな!」
部屋に響いた怒声に身体が固まる。こんなに激昂した律季を見た事がなかったのだ。
「まさか、あの社長と付き合っているんじゃないだろうな?」
怒りを孕んだ低い声に、ビクッと身体が震える。一瞬にして脳を支配した恐怖が、心臓の鼓動を速める。
ただ、もう引けない。
「私が誰と付き合おうが、律季に関係ないでしょ! もう、妹とも関わらないし、あの家も出て――」
「――絶対に許さない!!!! 穂花が俺から、離れるなんて絶対に」
「あ〜、終わった。アレ? 律季と……、穂花?」
間の抜けた声をあげ、控え室に入って来たのは、握手会を終えた妹の美春だった。
「あぁ、やたら目立つ奴だったな。穂花の会社の社長なんだろ?」
「……だから何? 律季には、関係ないでしょ」
「関係なくは、ないだろう。穂花は鏡レンナの関係者だ。アイツ、鏡レンナのファンなんだろ? 穂花と鏡レンナが姉妹だって気づいたら、厄介な事になる」
鏡レンナ、レンナって何なのだ!!
自分が理不尽なやつ当たりをしているのも分かっている。律季は、鏡レンナのマネージャーなのだから、トラブルの芽を早めに摘みたいと考え、社長の危険性を私に言っているのも分かる。
ただ、我慢出来なかった。
「そんな事、律季に言われなくたって分かっているわよ!! 社長とは、関わらないから、もういいでしょ。ほっといてよ……」
「放っておける訳ないだろう!」
なによ! 律季まで私の行動を制限するって言うの。
『鏡レンナ』として妹が羽ばたけるように、私には犠牲になれと言う。
そんな人生、もう嫌だ。
前の自分なら我慢出来た。社長に出会う前の自分なら我慢出来た。
ただ、もう無理だった。
前を向き、一歩を踏み出す決意をした今の自分には、妹のために自分を犠牲にする事は、もう出来ない。
「律季に私の行動を制限する権利なんてない! 私が誰と交流しようと、誰と行動を共にしようと、誰と付き合おうと、貴方には関係ないでしょ!」
捨て台詞を残し、さっさと立ち去ろうと踏み出した足が止まる。律季に捕まれた腕がジンジンと痛む。
「離してよ!」
「離す訳ないだろ!! 今、何て言った? 俺には関係ない。穂花が誰と付き合おうが、関係ないって言ったよな? ふざけるな!」
部屋に響いた怒声に身体が固まる。こんなに激昂した律季を見た事がなかったのだ。
「まさか、あの社長と付き合っているんじゃないだろうな?」
怒りを孕んだ低い声に、ビクッと身体が震える。一瞬にして脳を支配した恐怖が、心臓の鼓動を速める。
ただ、もう引けない。
「私が誰と付き合おうが、律季に関係ないでしょ! もう、妹とも関わらないし、あの家も出て――」
「――絶対に許さない!!!! 穂花が俺から、離れるなんて絶対に」
「あ〜、終わった。アレ? 律季と……、穂花?」
間の抜けた声をあげ、控え室に入って来たのは、握手会を終えた妹の美春だった。


