社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
罪悪感
マンションのエントランスを飛び出した私は当てもなく歩く。夕闇に包まれた街並みは、街灯が灯り始め、辺りをほんのりと照らす。
頬をとめどなく流れ続ける涙を拭うこともせずに歩く私を通りすがりの通行人がチラチラと見て行くが、そんな些細な事に気をとめている余裕などない。
美春の人生を台無しにしてしまった。
その罪悪感に押しつぶされた心がジクジクと痛む。
私が花音を引退するなんて言わなければ、美春は怪我をすることもなかった。
美春の影としての立場に不満を抱かなければ、彼女の華々しい人生を台無しにすることもなかった。
颯真さんと出会っていなければ――
彼との思い出が走馬灯のように頭を巡り、あふれ出した涙が次から次へと落ちていく。
颯真さんと出会ってしまった事を自分は後悔しているのだろうか?
彼と出会わなければ、希望を持つこともなかった。
だけど――
自由に生きたいと思って何が悪いの。
心の中で燻り続けた思いが噴き出しそうでつらい。
「――もう……、いや……」
このまま家に帰らない訳にはいかない。ただ、今夜は彼女と顔を合わせたくはなかった。
ふと目線を上げた先に、公園が見える。
閑静な住宅街にある公園だ。今夜くらい野宿しても大丈夫かな。
ただただ、あの家には帰りたくない。
その一心で吸い寄せられるように公園の中へと入っていくと、手近にあったベンチに座り俯く。ポタポタと落ちた涙が地面に跡を残し消えていく。
「……ひっく……、うぅ……限界……」
「こんなところにいたら危ない」
突然頭上から響いた声に顔を上げることが出来ない。
なんで……、なんでいるのよ……
肩へとかけられたコートの温もりと、ふわっと香ったグリーンノートの香りに、次から次へと涙が込み上げて止まらなくなる。
もう、我慢なんか出来なかった。身体が勝手に動き、彼の腕の中へ飛び込んでいた。
「颯真、さん……」
彼の胸へ額を当て泣きじゃくる私の身体を優しい温もりが包んでくれる。静かな公園の中、泣きじゃくる私の嗚咽だけが響いていた。
頬をとめどなく流れ続ける涙を拭うこともせずに歩く私を通りすがりの通行人がチラチラと見て行くが、そんな些細な事に気をとめている余裕などない。
美春の人生を台無しにしてしまった。
その罪悪感に押しつぶされた心がジクジクと痛む。
私が花音を引退するなんて言わなければ、美春は怪我をすることもなかった。
美春の影としての立場に不満を抱かなければ、彼女の華々しい人生を台無しにすることもなかった。
颯真さんと出会っていなければ――
彼との思い出が走馬灯のように頭を巡り、あふれ出した涙が次から次へと落ちていく。
颯真さんと出会ってしまった事を自分は後悔しているのだろうか?
彼と出会わなければ、希望を持つこともなかった。
だけど――
自由に生きたいと思って何が悪いの。
心の中で燻り続けた思いが噴き出しそうでつらい。
「――もう……、いや……」
このまま家に帰らない訳にはいかない。ただ、今夜は彼女と顔を合わせたくはなかった。
ふと目線を上げた先に、公園が見える。
閑静な住宅街にある公園だ。今夜くらい野宿しても大丈夫かな。
ただただ、あの家には帰りたくない。
その一心で吸い寄せられるように公園の中へと入っていくと、手近にあったベンチに座り俯く。ポタポタと落ちた涙が地面に跡を残し消えていく。
「……ひっく……、うぅ……限界……」
「こんなところにいたら危ない」
突然頭上から響いた声に顔を上げることが出来ない。
なんで……、なんでいるのよ……
肩へとかけられたコートの温もりと、ふわっと香ったグリーンノートの香りに、次から次へと涙が込み上げて止まらなくなる。
もう、我慢なんか出来なかった。身体が勝手に動き、彼の腕の中へ飛び込んでいた。
「颯真、さん……」
彼の胸へ額を当て泣きじゃくる私の身体を優しい温もりが包んでくれる。静かな公園の中、泣きじゃくる私の嗚咽だけが響いていた。