Dearest 2nd 〜Moon〜
───…その後、車は渋滞に巻き込まれる事もなく。
途中休憩したり、会話を弾ませながら、あっという間に車は大学へと到着した。
「───到着ー♪」
「───わぁぁっ!
広ーいっ~~~~!!!」
今日は学園祭だから、溢れんばかりのすごい人混みで。
構内は一際騒がしく、お祭りカラー一色。
めまぐるしく行き交う人々、どこまでも並ぶ店。
ザワつきや色んな音が、何も気にしなくても勝手に耳に入ってくる。
「すごーい……っ!」
目新しいものばかりなのか、忙しく視線をきょろきょろしている彩が何だか小動物みたいで。
「何か買う?」
「え、えと……」
そう言って、クレープやたこ焼きをじーっと見つめてる君が相変わらずで。
……食い物かい!ってツッコミたいのも程々に。
「……どっちも買う?」
「え、えーと…。」
「……どっちも食べたいって顔に書いてあるんですけど」
「え!?」
どうやら図星だったらしく、真っ赤にしてる彩を置いて両方買って彩に手渡した。
「ありがとう……」
嬉しそうな君を見ると口端が緩む。
そうこうしているうちに
「───純くーんっ!
今日歌うんでしょー?」
遠くの方から、数人の女の子達が手を降って声を掛けて来た。
「おー、もちろん!♪」
「楽しみにしてるねー!♪頑張ってー!♪」
手を振り返し、そこで一気にいよいよなんだな……と。
本番前特有の緊張が巡ってきた。
……久々だな。こんな感覚。
チラリ……と横を見ると、
「ん?」
彩はそんな俺をよそに無邪気に笑い掛けてくる。
……今日は大丈夫そうな気がするよ。
君がいるから。
君がいてくれるから。
「──あー…。
やっぱり今日は人ハンパないなぁ……
───よしっ!
彩こっちおいで。」
「────えっ?!」
━━━━━━グイッ!
「───…わっ……」
君の手を、強く強く握って走り出した。
俺の中に潜んでいる不安も恐怖も弱音も、全部全部。
君と一緒に吹き飛ばしたかったから。