Dearest 2nd 〜Moon〜




……とてつもない人波の中。


俺の少し前を彩、壱、吾郎の三人が歩き、その後ろを俺とマリアが距離を開けて歩く。





「……マリアさ?
もーちょっとだけ彩に優しくしてあげて欲しいんやけどなー……」




「………やだよ」




「……あ、そう……」





不機嫌そうなマリアの横顔。


俺は返事の素っ気なさから苦笑いして誤魔化した。





「……あたしはまたチカの時みたいに、純が傷付くのが嫌なだけだよ」




「うん。ありがとう。
マリアが俺の事一番に考えてくれてるのは分かってるよ。」




「……」



何か言いたそうなマリアだったが





「─────…うわぁ…!」




ライブ会場を見た彩の感動の声が、俺達の会話を遮った。




「ほらアヤヤっ!!!!
この中でライブするんだよーっ!♪」




「────すっごーいっ!!!!!超広~い!!!!」





……大声上げすぎ。



ま、無理ないか。



ライブ会場となっている巨大な白いホールは、とてつもなく広い。


大学の人数が余裕で入るだろうし、何かと音楽のイベントなんかもよく開催されるから客席なんかもかなりの数がある建物だ。






「───…すごいやろ?
一応音大やからな、環境とか設備はすごい整ってんねん♪」




「……本当に広いね…

あたし、まさかこんなスケール大きいなんて思わなかったよ……。」



「ここでライブしたら気持ちいいんだよねー♪

……あっ、アヤヤ♪
はいこれあげるっ!」



壱は満足げに笑い、彩に今回の学祭のパンフレットを差し出した。




「……わぁ、ありがとう!」




「────あたし、衣装着替えてくる。」





……マリアは忽然と姿を消し、あっという間に人混みに紛れてしまった。




「もう時間やな……
俺らもそろそろ行くか。


彩、ごめん。俺らもう先行っとくな。席分かる?」






「……」





彩は聞こえていない様子で、パンフレットを食い入るように眺めニコニコしている。





……あれ?


    


「─────…彩?」




「……え?」




覗き込むと、彩は次の瞬間真っ赤になって顔を上げた。






「…あれ、もしかして今の聞こえてなかった?

そろそろ俺らも行ってくるな?」



「あっ、うっうん!!!!」



「アヤヤそれじゃねっ♪」





彩に手を振って吾郎、壱と歩き出すと





「……彩ちゃんさ、パンフレットの純見ててニコニコしてたんだよ、きっと。」


 
「え?そうなんかな……?」    



「そうかもねー!めっちゃ笑ってたし!!」 




 
……そうやったら嬉しいけどさ……






そんなくだらない事を話しながらステージ裏まで行くと、そこには忙しない楽屋裏の世界があった。



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