Dearest 2nd 〜Moon〜
オープニングのヴィジョンと共に、もう出演間近といった時。
爆音と爆発の演出、そして人々の興奮した歓声が重なって聞こえてくる。
───開幕の、合図。
その時には、もう恐怖もトラウマも全部ぶっ飛んだ気がする。
俺の様子を見て安心し、笑っている吾郎、壱、マリアと力強く手を合わせ、
「───行くか!」
───カツンッ…
俺たちは、再び光が溢れるステージへと足を進めた。
───…そして
「───Look here!
and Are You Ready?」
━━━━━パンッ!
パンパンッ────!!
「───紅ーーーッッッ‼頑張れーーーッッッ!!」
「吾郎くん!いっちゃんファイトーーー!!」
「皐月さーーーん!こっち向いてーーーッッッ」
「純くーーーんっ♡♡♡♡♡♡!!!!」
聞こえて来る歓声と応援と、旗に応援メッセージを書いて必死に振ってくれている人……
顔見知りや、ゼミ仲間達……知っている人々が声を上げて手を振ってくれていた。
その中から香宮さんが泣きそうになりながら見つめてくれているのを見つけて、ふいにこっちまで泣きそうになったりと
「───ッ…、」
嬉しいのか泣きたいのかよく分からない感情が、胸に波紋を広げて広がって行く。
そして極めつけには特等席に、君の姿。
大きな瞳にステージのライトを映し、ギュッと祈るように手を組んで俺を見つめている。
俺は当然君を見つめ返し、微笑んだ。
「───…っ、」
瞬間的に君と目が合い、君は何か呟いた気がした。
……見ててくれ、な。
もう大丈夫だからさ。
君がいてくれるだけで俺は強くなれるよ。
───どこまでも。
「───♪」
目を閉じ、失った声が再び戻って来た瞬間。
声を取り上げられて、再び歌えるようになった人魚姫の曲が書けそうな気がした。
痛いくらい、その人魚姫の気持ちを痛感したからだ。