Dearest 2nd 〜Moon〜
……ん?彩……?
「───おっ、お疲れ様!!
もうもう本~~~ッッ当にすごかったね!!
あたし、感動して泣きそうだった……」
ボーッと放心状態でいる俺の耳に、興奮覚めやらない彩の弾んだ声が聞こえて来る。
「───…あはは♪
楽しんで貰えたみたいで良かったよ。
彩ちゃん、ぶっ倒れなかった?」
吾郎がそれに笑って答え、椅子に座った。
……吾郎、今彩って言ったよな。
彩……
……見たい……。
疲労の域が限界値だったのか。
もはや頭には”彩”、“見たい”の単語しか出て来ない。
まだ何とか気力が残ってるうちに、と。
全身汗だくの気だるい身体を無理やり起こし、
「────あっつー…。
吾郎、そこのタオル投げて~…」
「はいはい。」
──────パサッ…
吾郎が投げたタオルを片手でキャッチし、流れる汗を拭う。
グショグショになったTシャツを脱ぎ捨て、白いシャツだけサッと羽織り、視線を彩に戻せば
「・・・・・」
何故か真っ赤になって硬直している彩の姿。
「?」
……ん?
何故そんな顔真っ赤?
……あ、もしかして。
俺が目の前で脱いだからか。
……んな思っきり不自然に視線逸らして真っ赤にならんでも。
あー……。
可愛いなぁ……。
戸惑った視線がキョロキョロと忙しく宙を舞う、ぎこちない彩の姿に笑みが零れた。
「────…あーやっ♪」
─────くしゃっ♪
抱き締めたい衝動を何とか堪え、彩の頭をいつも以上に優しく撫でた。
だってギチギチに固まっていて、俺が触れたら割れるんじゃないかと思ったから。