Dearest 2nd 〜Moon〜

「……いいの、別に。
もうあたし平気だから……」




「────ごめん……」





瞬きさえせず、真っ直ぐと見据える瞳の中にビルの光の宝石を映し、マリアは笑う。



……その姿が、その昔一人で立ち尽くしていた過去のマリアに重なった。






「……でも確かに感じとかは似てるよね。

ま、リリーの方が可愛いけどさ。」




「───なっ…、お前な〜……」




「あははっ冗談だよ冗談。」





相変わらずブラックジョークを言うマリアの頭を小突き、どちらかともなく目が合って笑う。



 


「────リリー、……か……」




「……」






……俺、吾郎、壱、マリア。







────そしてリリー。







……彼女は何を隠そう




実は、紅のメンバーの一人。




それがリリアこと“リリー”だ。




……きっと聞くとみんな驚くだろう。




だって実は5人組なんだから。




この事は、紅メンバー内部である俺と吾郎、壱、マリアしか知らない隠された事実。



……きっとあの筋金入りのファンだと豪語する香宮さんでさえも絶対に知らない。




それぐらい、誰も知らない。



俺達だけの秘密だからだ。



これは紅内部の暗黙の了解、というか一切口外したことがない事実。






「……ライブの後、彩があたしに話し掛けに来た時さー……


あの健気さっつーか……


ほんとリリーそっくりだなって思った……」





「……だろうね。」






……リリーは健気さそのものだからな。





そんなリリーは……






ワケあって、今はステージに立たない。






────それは……




俺とマリアの“ある過去”があるから、なんだけど。





語るにはあまりにも長過ぎて、語り尽くせない。





まぁとりあえず、いつかリリーがいつもの調子で笑いながら戻って来そうだから。




いつ帰って来てもいいように……と。




当のリリー本人はどう思ってるのか知らないが、俺達はリリーの存在を今もメンバーから切り離せずにいる。






────カラカラ……

    



過去を思い出していると何だか俺も風に打たれたくなって、マリアと共にベランダに出た。




─────ヒュウッ……!





「……おー寒……」



「そう?冷たくて気持ち良いよ。」



「……お前は酒飲んでるからやろ……」



「……あぁそっか。」





━━━━━シュボッ!




俺達はフッと笑い合い、マリアが吸うタバコの煙の行方を見ていた。


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