Dearest 2nd 〜Moon〜
「そういやさ、弥生は何の大学行ってるん?」
…───思えば
引き金を引いたのはここからだったと思う。
「あたしはね、理学療法士目指して只今勉強中~♪」
この一言で、俺は関与しなくても良かった数奇な巡り合わせに自ら足を突っ込む事になったんだ。
「…理…学療法士……?」
「そっ!あたしも高校卒業してから一般企業で働いてたんだけどね、ちょっと資格欲しくなったのがキッカケで今年から理学療法士の大学通ってるんだ~♪」
「………」
…───“理学療法士”。
この単語で連想する人物はただ一人。
“俺は……
夢を叶える為に
東京に
行こうと思っています”
“夢”を叶える為に東京に行った。
そしてその夢が……
“───…朝岡さん。
俺、理学療法士になりたいんです。
もう……ずっと前から。”
そう言って彩と別れ、夢を叶える為に東京へ行った。
その後消息は知らない。
連絡も取っていない。
…───でもまさか…
そう思ったけど、何か嫌な胸騒ぎがしたんだ。
「あれ?どうしたの純?
何か顔色変だけど。」
弥生が二杯目のシャンパンを受け取り、何も言わない俺を覗き込む。
「……あ…いや…
俺の知り合いにも同じ理学療法士になりたくてこの春からこっち上京しててさ。」
「へぇ~!!大阪から?
奇遇だね、あたしのクラスにも一人大阪から来た人いるよ♪」
…───まさか…な。
「でも東京やし、理学療法士の学校なんていっぱいあるでなぁ?」
「うんそうだね♪
でもウチの大学は結構有名みたいで地方から通う子もいっぱいいるよ~」
…────ドクッ…。
「……へぇ……
もしかしたら知り合いやったりして。
そいつの名前何ていう?」
まさか。
だって大学なんて東京ならめちゃくちゃあるだろうし……。
そんなうまい話があるわけない。
そう思ってても、次の瞬間あっさり期待は打ち砕かれた。
「……んーとね、
高山英寿っていうんだけど。
純知ってる?」