Dearest 2nd 〜Moon〜
「───彩じゃなくて何で俺?」
フッと笑いが込み上げてくる。
でも笑った表情はきっと穏やかではなかったに違いない。
「……それは……」
━━━━━ザァァァァッ…
打ち付ける雨は強くなり、窓ガラスに音を立ててへばり付く。
それがぶんのようで、たまらなく嫌だったのを覚えている。
「───お前さ……」
多分俺が嫌だったのは、ぶんが東京に染まってイキっていたからではない。
高級車に乗って、冷たく笑うからじゃない。
俺が嫌なのは、彩を忘れられないとか口先で言いながら、弥生ともちゃっかり付き合っているところかもしれない。
別に弥生とぶんが付き合おうと付き合うまいと、そんなのどっちでもいい。
好きにすればいい。
───ただ………
「───お前さ、そんなどっちも付かずな気持ちで彩に近付くなよ。」
そこで初めて振り向き、ぶんを見つめるが俺はもしかしたら睨みつけていたかもしれない。
「………」
「……ホンマに純粋に彩のこと忘れられへんかったらえぇねんで?
やけどな、弥生がおるんやったらやめろ。
そんなどっちも付かずな事してたら彩も弥生も泣かす事になるぞ。」
「……」
何も言わない……いや、言えないぶんを見つめながら。
彩の好きな奴はもう、いつしか彩を傷付ける立場に有る事を知ったんだ。