Dearest 2nd 〜Moon〜
「……なるほど。
じゃああなたはもうチカちゃんと別れてフリーだから、正々堂々と彩に近付く事が許されるって訳ですね。」
────ほらな。
こうやって正論を述べ、理論的に畳み掛けてくる。
俺はこいつが苦手だ。
「……ま、そういう事。
でもお前がおってもおらんくても、俺は彩に近付くけどね。
────どっちにしろ、俺は彩の事好きやから。」
もうこれ以上は何度話しても理解し合えない。
「じゃーな。」
───────バンッ
俺は狭苦しい高級車のドアを開け、傘のない雨の中へと飛び出した。
「……朝岡さんっ!!」
────────ザァァァァッッ!!
容赦なく打ち付ける雨は、俺を呼び止める声を掻き消してくれた。
───────パシャ…
一瞬の間に出来上がった水溜まりの上を歩き出す俺は、二度と振り返らなかった。
「────そんな………
中途半端な思いで彩に近付くな…」
きっと。
そう呟いた俺の声も、降りしきる雨は掻き消してくれただろう。