Dearest 2nd 〜Moon〜
「俺、今回学祭の実行委員とか言う超〜〜めんどくせー役当たっちまったからさ、出るんなら出るで早いとこそれくれな。」
「……あ、そうか…ごめん分かった。」
「じゃーな♪今年お前んとこのバンド出ないなら、俺らがもらったもんだなー♪」
悪気があるのかないのか……分からないけれど、隼人はその場を離れた。
「……あれから一年、か……」
俺にはつい昨日の事のように思えるよ。
まだあの感覚が忘れられない。
歌うのが、
ステージに立つことが……
何より怖いあの感覚……。
「……なぁ、純。」
固まった空気の時間の針を動かしたのは吾郎。
「……ん?」
「お前さ、まだ本調子じゃないだろ。
喉も身体も。今回はまだ辞退しといた方がいいんじゃないか?」
「……」
「……そうね。
また倒れたりしたら、今度こそステージ立つの怖くなるだろうし。」
「そうだよ!!オレたち気にしないから大丈夫だよ!!」
「……でも……」
────俺のせいだ。
俺が歌えないせいで、仲間をステージに上げてやれない。
きっと三人はステージに上がりたいはずだ。
学園祭のライブはすごく大きなイベントだし、設備も客も規模が違う。
そんな華々しい場所に立たせてあげられないのは……
「……でも去年から一回もライブ出演してないやろ?
お前らかって演奏したいやろ……」
「なーに言ってんだよ。」
ポン、と吾郎が背中を押す。
全てを悟っているかのように。
「そうよ、あたし達そんなの気にしてないわよ」
炭酸を飲み干し、ニコッと笑うマリア。
「そうだよ!
オレは純と一緒にライブ出たいから、いいんだよっ!
気にしないでっ!」
壱も俺にへばり付く。
……まただ。
また見失いそうになった。
一年前はこれがエスカレートし、最悪の状況になった俺達はもう同じ間違いを繰り返さなかった。
弱気になった俺を笑って包み込んでくれる。
────…それは
一年前とは違う明らかな俺達の変化だった。